今回は、Netflixで配信されているドキュメンタリー『COMING OUT COLTON(カミングアウト:コルトンの旅)』をご紹介します。
全米を熱狂させた「完璧なモテ男」が、自身のセクシュアリティを告白するまでの葛藤とその後を追った本作。ゲイにとって共感できるポイントや、逆に「アメリカらしいな」と興味深く感じるポイントが詰まっています。
『COMING OUT COLTON』の概要
このドキュメンタリーの主人公は、元NFL(プロアメリカンフットボール)の選手であり、アメリカの人気婚活リアリティ番組『ザ・バチェラー』の元主役でもあるColton Underwoodです。
アメリカの「男らしさ」の象徴であるアメフトの世界で活躍し、さらには何十人もの女性から愛される「バチェラー」として全米の注目の的だった彼。しかし、その輝かしいキャリアの裏で、彼は自分がゲイであることを隠し、自分自身を否定し続けてきました。
本作は、彼が家族や友人にカミングアウトしていくプロセス、そして「ゲイとしての人生」を歩み始める姿を映し出した全6話のシリーズです。
Coltonの魅力:完璧すぎる男の「弱さ」と「再出発」
コルトンの魅力は、なんといってもその圧倒的なビジュアルと誠実なキャラクターです。
- 屈強な肉体: 元プロアスリートらしい、均整の取れた体格はまさに「理想の男性像」。

- 葛藤のリアルさ: 彼は保守的な家庭環境やキリスト教信仰、そしてアメフト界という「超ヘテロ社会」で生きてきました。そのため、自分がゲイであることを受け入れるまでに非常に長い時間を要しています。
完璧に見える彼が、カメラの前で涙を流し、過去の過ち(元恋人へのストーキング騒動など)についても向き合おうとする姿には、一人の人間としての泥臭い魅力が溢れています。
ゲイ視点での面白さ:ここが見どころ!
この作品をゲイの視点で観ると、非常に興味深いポイントがいくつかあります。
① 「マッチョ文化」とクィアの対立
アメリカのスポーツ界、特にアメフトは非常にホモフォビックな側面が強い世界です。その中で「憧れの的」として振る舞わなければならなかった彼の孤独は、多かれ少なかれ「男らしくあれ」という無言の圧力の中で生きる日本のゲイにも響くものがあります。

② 豪華なメンターたち
Coltonのカミングアウトを支えるガイド役として、平昌オリンピック銀メダリストのGus Kenworthyが登場します。彼がコルトンに「ゲイ文化」や「コミュニティの歴史」を教えていくシーンは、初心者向けのガイドとしても楽しめます。

③ 「特権」への批判も含めたリアリティ
彼は白人で、裕福で、ルッキズム的にも優位な「特権的なゲイ」です。コミュニティ内からは「なぜ彼のような恵まれた男だけが、これほど大きなプラットフォームを与えられるのか」という厳しい批判も向けられます。ドキュメンタリーが単なる美談に終わらず、そうしたコミュニティ内の複雑な反応まで描いている点は非常にリアルです。
まとめ:自分らしく生きる勇気をもらえる一作
『COMING OUT COLTON』は、単なるセレブのカミングアウト記録ではありません。「自分に嘘をつき続けることの限界」と「ありのままの自分を受け入れてもらうことの難しさ」を描いた人間ドラマです。
ガチムチな男性が好きな方はもちろん、カミングアウトやアイデンティティに悩んだ経験があるすべての人に、ぜひチェックしてほしい作品です。

最終章:ドキュメンタリーの先へ。Coltonが手に入れた「真実の愛」と「家族の形」
カミングアウトという大きな嵐を乗り越えたColton。ドキュメンタリーのカメラが止まった後、彼はついに「自分を隠さずに愛せる相手」と巡り会います。
- 運命のパートナー、Jordan Brownとの出会い
ドキュメンタリー公開から間もない2021年、コルトンは政治戦略家のJordan Brownと交際を開始しました。これまでの「番組で用意された女性」との恋愛ではなく、彼が自分の意志で選び、心から惹かれた相手です。
二人は2022年に婚約を発表。彼はSNSで「自分らしくいられる相手を見つけた」と喜びを爆発させました。

- 圧巻のウェディング:カリフォルニアでの門出
2023年5月、二人はカリフォルニア州ナパ・バレーで盛大な結婚式を挙げました。
- スタイル: 二人とも深いグリーンのタキシードを纏い、洗練されたアウトドア・ウェディング。
- 参列者: 家族や親しい友人たち。ドキュメンタリーでは複雑な表情を見せていた父親も、この日は笑顔で息子の門出を祝福しました。
かつてアメフトの試合で歓声を浴びていたColtonが、最愛の夫と手を取り合い、一人の男性として祝福される姿は、多くのクィアに勇気を与えました。

父になる喜び:代理出産での新たな命
そして2024年、二人はさらなる幸せを掴みます。代理出産を通じて、待望の第一子となる男の子が誕生したのです。
彼は、かつての自分のように「ゲイになったら家族を持てないのではないか」と悩む若者たちに対し、「自分らしく生きていても、父親になる夢は叶えられる」ということを身をもって証明しました。

結びに代えて:正直に生きるということ
Colton Underwoodの物語は、単なるセレブの告白に留まりません。
「完璧な男らしさ」を演じるために自分を殺し、一時は闇の中にいた彼が、勇気を出して一歩踏み出した結果、「夫」としての顔、そして「父」としての顔を手に入れました。
彼がSNSで見せる、夫と息子との穏やかな日常は、ドキュメンタリーで流していた苦しい涙よりもずっと輝いています。『COMING OUT COLTON』を観終わった皆さんに、ぜひ知っておいてほしい。「正直に生きることは、これほどまでに人生を豊かにする」という最高の後日談を。



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